ベトナムでの金属加工のメリットと輸入方法を徹底解説
近年、製造業では「チャイナ+ワン」(中国依存からの脱却)戦略の一環として、製造現場を中国からベトナムへシフトする動きが加速しています。
特に金属加工をはじめとする部品加工は、高精度・低コストという視点から注目されており、自動車や電子機器などの製造工程でベトナムの製造業は存在感を強めています。
そこで今回は、
- ベトナムでの金属加工が今注目されている3つの理由
- ベトナムで金属加工を行う5つの大きなメリット
- ベトナムの金属加工で対応できる主な加工内容
- ベトナムからの加工部品輸入フロー
について徹底的に解説していきます。
海外調達を検討している方やベトナムの部品加工に興味のある方は、ぜひ最後までチェックしてください。
目次
ベトナムでの金属加工が今注目されている3つの理由

ベトナムでの金属加工は、ここ数年で世界中の企業から注目を集めています。
その背景には、製造コストの低さや高い成長性、そして国際的なビジネス環境の整備といった、さまざまな魅力があるからです。
ここでは、なぜベトナムが今「金属加工の拠点」として選ばれているのか、初心者にもわかりやすく解説していきます。
【理由①】製造業の成長が著しい
ベトナムは近年、アジアの中でも特に急速に成長している製造業大国のひとつです。
政府は外国からの投資を積極的に受け入れており、金属加工をはじめとする多くの産業が発展しています。
例えば、2024年の上半期だけでも、製造業分野には10億ドル以上の外国投資が流れ込んでおり、その規模は年々拡大しています。
このように、金属加工を支える産業インフラや技術の水準も年々高まっているため、安定した生産体制が構築されつつあります。
【理由②】「脱中国」ニーズに応える立地と政治の安定性
これまで多くの企業が中国に生産拠点を置いていましたが、近年では「チャイナ+ワン」と呼ばれる動きが広がっています。
これは、中国以外の国に生産を分散させることで、リスクを軽減しようという動きです。
その候補地として注目されているのが、政治的にも安定し、地理的にアジアや欧米との物流アクセスが良好なベトナムです。
港湾や空港などのインフラも整っており、日本を含む多くの国との貿易協定(FTA)も活用できるため、輸出入に関わる手続きやコストも抑えることができます。
こうした点から、「チャイナ+ワン」の代表として、ベトナムに生産拠点を設ける企業が増え続けています。
【理由③】高まる技術力と人材の質
かつては「安かろう悪かろう」といった印象もあったベトナムの製造業ですが、現在はその印象が大きく変わりつつあります。
例えば、金属加工分野でも、CNC旋盤やレーザー切断機、ロボット溶接機などの高度な最新設備を導入する企業が増加しています。
もはや日本国内の企業との設備による差はまったくありません。
さらに、日本でものづくりを学んだ技術者をはじめ、技術者のスキルも向上しており、精密で品質の高い加工が可能になってきています。
ベトナムは今や「安いだけではない」、コストパフォーマンスの高い金属加工拠点として世界中の企業から信頼されつつあります。
ベトナムで金属加工を行う5つの大きなメリット

ベトナムで金属加工を行う企業が増えている理由は、単に人件費が安いというだけではありません。
品質、納期、貿易面での優位性など、多くの側面で高い評価を受けています。
ここでは、企業がベトナムを金属加工の生産拠点として選ぶ5つの代表的なメリットを、わかりやすく解説します。
メリット①:製造コストを大幅に抑えられる
まず、最大のメリットはコスト面にあります。
ベトナムは、アジア諸国の中でも人件費が非常に安く、同じ加工内容でも中国や日本と比べて30〜60%程度のコスト削減が可能です。
たとえば、CNC加工やプレス加工などの工程においても、熟練の技術者が対応してくれるにも関わらず、費用は圧倒的に抑えられます。
また、人件費だけでなく、電力・水道などのインフラコスト、工場賃料などの経費も総じて低いため、トータルの製造原価を引き下げたい企業にとってベトナムは非常に魅力的です。
メリット②:高度な加工技術と設備が整っている
ベトナムの金属加工と聞くと「技術的にはまだ発展途上では?」という印象を持たれるかもしれません。
しかし、実際には多くの企業が先進的な加工機械を導入しており、高精度なCNC旋盤、レーザー切断装置、自動溶接ロボットなどを活用した加工が行われています。
加えて、ベトナム国内の工科大学や技術専門学校では、製造業に必要な人材育成が活発に行われており、技術者の質も年々向上しています。
その結果、精密部品や医療機器部品、車載部品の加工など、高度な品質管理が求められる分野にも対応できるようになってきています。
メリット③:国際基準に基づく品質管理体制
ベトナムの多くの加工工場では、国際的な品質規格であるISO 9001や、自動車産業向けのIATF 16949などを取得しています。
これにより、製造現場ではトレーサビリティや品質マネジメントシステムがしっかりと整備されており、安定した製品供給が実現されています。
また、検査体制も強化されており、非破壊検査(超音波検査や磁粉探傷など)や3次元測定機を用いた精度確認、各種証明書の発行も可能です。
こうした品質管理体制により、日本国内で求められるレベルの品質を維持しながら製品を輸入することができます。
メリット④:貿易協定による関税面での優遇措置
ベトナムは、日本をはじめとした多くの国と自由貿易協定(FTA)を締結しています。
代表的なものとしては、CPTPP、EVFTA、RCEPなどがあり、これらの協定を活用することで、金属部品や原材料の輸出入にかかる関税が大幅に免除または軽減されます。
さらに、ベトナム国内で「輸出加工企業(EPE)」として登録された企業であれば、輸出向けの原材料や機械設備については輸入時の関税・付加価値税(VAT)が免除されるというメリットもあります。
これらの制度を上手く活用すれば、製品単価をさらに引き下げ、コスト競争力を高めることができます。
メリット⑤:環境への配慮と持続可能な製造体制
近年、SDGs(持続可能な開発目標)やカーボンニュートラルへの関心が高まる中で、ベトナムの金属加工業も環境への配慮を重視した製造プロセスへの移行が進んでいます。
たとえば、再生エネルギーの活用や工場内の排水処理、廃材リサイクルの導入など、環境負荷を抑えるための取り組みが増えています。
また、国際的な環境認証(ISO 14001など)を取得している工場も増加しており、環境面での安心感も得られます。
これは、欧州や日本など、環境基準の厳しい市場に製品を供給する際にも大きな強みとなります。
このように、ベトナムでの金属加工には
- コスト
- 技術
- 品質
- 貿易
- 環境
の5つの大きなメリットがあり、それぞれが日本企業にとって非常に有利に働く要素です。
ベトナムの金属加工で対応できる主な加工内容
加工方法 | 加工内容 | |
---|---|---|
1 | 切削加工 | 金属材料に工具を当てて削り取り、指定された形状や寸法に整える加工方法 |
2 | 溶接 | 金属同士を加熱して溶かし、接合部分を一体化させることで結合する加工方法 |
3 | プレス加工 | 金属の板材に対してプレス機で力を加え、打ち抜きや曲げ、成形を行う加工方法 |
4 | 深絞り加工 | 金属板をプレスで引き延ばしながら成形し、深さのある部品を作り出す加工方法 |
5 | 鋳造 | 溶融した金属をあらかじめ用意された型に流し入れ、冷やして固めて形を作る技術 |
6 | 鍛造 | 加熱または常温の金属に圧力を加えて形状を変形させ、強度の高い部品を製造する加工方法 |
7 | レーザー加工 | 高出力のレーザー光を照射して、金属を精密に切断したり彫刻したりする加工方法 |
8 | CNC加工 | コンピュータで制御された工作機械によって、自動で金属を切削・加工する高精度な方法 |
9 | 表面処理 | 金属の表面にメッキや塗装などの処理を施し、耐食性の向上や外観の美しさを高める方法(メッキ、塗装など) |
10 | 粉末冶金 | 金属の微細な粉末を型に入れて高圧で圧縮し、その後焼結して部品に仕上げる成形技術 |
ベトナムからの加工部品輸入フロー

ベトナムで金属加工を依頼する際、「何から始めればよいのか分からない」と不安に感じる方も少なくありません。
そこで、実際の取引で一般的に用いられる加工依頼の全体像を、順を追って解説します。
①加工会社やサプライヤーの選定
まず最初のステップは、信頼できるベトナムの金属加工会社、サプライヤーを見つけることです。
- 対応可能な加工技術(CNC加工、プレス、溶接など)
- 過去の取引実績(日本企業との取引経験があるか)
- ISOなどの品質認証の有無
- 設備状況や生産能力
上記を確認し見込みのある企業が見つかったら、次のステップに進みます。
②試作・サンプル製作
図面通りに加工できるか、寸法精度や外観品質、溶接の仕上がりなどを試作やサンプル製作することで、量産時のリスクを大きく減らすことができます。
この段階で品質確認をしっかり行い、必要であれば設計の微調整や加工条件のすり合わせを実施しましょう。
③量産加工の依頼
サンプルに問題がなければ、量産の発注へと進みます。
発注書では、納期・数量・価格などを明確に記載することで、トラブルの予防になります。
この際、納期の余裕を持ってスケジュールを設定することが重要です。
旧正月(テト)や祝日など、ベトナム特有の休暇期間も考慮するようにしましょう。
④出荷・輸送手配
製品が完成したら、いよいよ出荷準備に入ります。
梱包は、輸送中に部品が破損しないように配慮された仕様になっているか確認してください。
特に精密部品の場合は、クッション材や個別包装が必要になることもあります。
輸送方法には大きく分けて以下の2つがあります:
- 海上輸送(FCL/LCL):コスト重視、大量輸送に最適
- 航空輸送:スピード重視、緊急案件や小ロット、小型部品向き
輸出側での通関や船積みの手配は、現地企業が対応することも多いため「インコタームズ」と呼ばれる国際的な貿易条件に基づいて役割分担を明確にしておくと安心です。
インコタームズについてはこちらの記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
⑤通関手続きとパートナーシップの構築
ベトナムから輸送されてきた貨物は税関で通関手続きを行います。
国内の配送業者から指定場所に届き、初回取引が問題なく完了すれば、長期的な発注も検討できるでしょう。
パートナーシップを構築できれば、継続的なやり取りを通じてお互いの理解を深めながら、価格交渉・納期調整・品質改善などにも柔軟に対応してもらえるようになります。
ベトナム企業は日本とのビジネス文化を学ぶ意欲が高く、丁寧なコミュニケーションを続けることで、信頼関係を強化することができます。
ベトナムで部品調達をするならベトナム金属加工.comに丸投げ
ここまでベトナムで部品調達・金属加工をするメリットと輸入方法について解説してきました。
「チャイナ+ワン」として注目を集めるベトナムで部品調達をすることは将来性や圧倒的なメリットがあることが伝わったかと思います。
とはいえ、いきなりベトナムで海外調達を始めるのはなかなかハードルが高いですよね。
そこで、ベトナム金属加工.comでは、日本の大手企業にも多くの納入実績をもつ、ローカル企業との豊富なネットワークを活かして海外調達をサポートしています。
現地スタッフは日本での就労経験もあり、日本語のみの図面でも対応可能です。
複雑な国際輸送もワンストップで対応しているので、やり取りも簡単でスムーズなのが特長です。
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まずはぜひお気軽にお問い合わせください。